カターレ富山×県総スタグル40店舗──県人口と観客動員データで読むJ2復帰元年
- BOQUERIA

- 1 日前
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今年初めて参加させてもらったカターレ富山のスタグルで思うこと、来年以降の検証。
J2昇格元年の「県総(富山県総合運動公園陸上競技場)」での1年を、数字とスタグル目線でまとめておきます。
■ 1.Jリーグ全体の観客数は「歴代最多」の追い風
2025年のJリーグ全体の平均観客数は次の通りと言われています。
・J1平均観客数:約21,246人(歴代最多)
・J2平均観客数:約 8,888人(歴代最多)
・J3平均観客数:約 3,760人(歴代最多)
リーグ全体としては「右肩上がり」で、サッカーを見る人自体が増えている状況です。
この追い風の中で、カターレ富山と県総スタグルがどこまで伸びるのか、というのが本稿のテーマです。
■ 2.県総スタグルの現在地(2025シーズン)
カターレ富山は2025シーズン、J3からJ2へ昇格し、ホームゲームは県総(富山県総合運動公園陸上競技場)で開催されています。スタジアムグルメ(スタグル)の環境は大きく変わりました。
・会場:富山県総合運動公園陸上競技場(県総)
・出店数:約40店舗(北陸最大級クラス)
・エリア構成:
– メインエリア(会場正面)
– バラエティエリア(ホームゴール裏周辺)
・特徴:
– 試合ごとに出店店舗が入れ替わり、行くたびに違うスタグルが楽しめる
– T払い(Tポイント連携)などキャッシュレス決済に対応する店舗が増え、利便性アップ
スタグル40店舗体制は、カターレ富山のJ2復帰を追い風にした「北陸最大級のフードコート」といっていい規模です。
■ 3.カターレ富山の観客動員を「県人口」で見てみる
まずは、カターレ富山の観客数と富山県の人口をざっくり整理します。
・富山県の人口:約103万人
・カターレ富山 2025 J2ホーム平均観客数:約5,600人
単純に割ると、
・富山県民の約0.54%が、ある週末に県総に集まっている
・県民1万人あたりの来場者は約54人
というイメージになります。
同じような地方クラブと比べると、だいたい次のような関係です(数字はおおよそのイメージ)。
・V・ファーレン長崎
– 長崎県人口:約131万人
– ホーム平均:約15,800人
– 県民1万人あたり:約120人
・サガン鳥栖
– 佐賀県人口:約81万人
– ホーム平均:約9,300人
– 県民1万人あたり:約115人
・徳島ヴォルティス
– 徳島県人口:約72万人
– ホーム平均:約7,200人
– 県民1万人あたり:約100人
・カターレ富山
– 富山県人口:約103万人
– ホーム平均:約5,600人
– 県民1万人あたり:約54人
同じ「地方クラブ」でも、長崎・鳥栖・徳島は「1万人あたり100人前後」がスタジアムに来ていて、カターレ富山はまだ「約54人」、つまり浸透度としては半分くらいの位置にいる、という見方ができます。
理屈だけでいえば、
・来場率0.54% → 0.8%:平均観客数は8,000人台
・来場率0.54% → 1.0%:平均観客数は1万人台
という“伸びしろ”が残っている状態です。
■ 4.J2平均と比べたカターレ富山
2025年のJ2全体の平均観客数は約8,888人。
カターレ富山の約5,600人は、
・J2平均のざっくり「6割ちょっと」
・J2 20クラブ中、下位グループ(15位前後)
という位置づけになります。
順位ゾーン別にざっくり整理すると、
・上位ゾーン(1〜8位):平均1万人前後
・中位ゾーン(9〜16位):平均7〜8千人前後
・下位ゾーン(17〜20位):平均5〜6千人前後
カターレ富山はこの「下位ゾーン」。
ここから中位ゾーンに上がるだけで、観客数+30〜40%は現実的に見込める、というのが今の立ち位置です。
■ 5.昇格クラブの実例:本当に観客は増えているのか
「昇格したら本当にお客さんは増えるのか?」という点を、J3→J2昇格組の実例で見てみます(数字は概算)。
・いわきFC
– 2022年(J3):平均約2,100人
– 2023年(J2昇格初年度):約3,500人(+約65%)
– 2024〜2025年:4,000人台まで増加
・藤枝MYFC
– 2022年(J3):平均約1,700人
– 2023年(J2昇格初年度):約3,100人(+約80%)
– 2024年(J2):約4,200人(+約30%)
・ブラウブリッツ秋田
– 2020年(J3):平均約1,300人
– 2021年(J2昇格初年度):約4,000人(+200%以上)
– その後も5,000〜7,000人台へ成長
・徳島ヴォルティス(昇格なしだが増えた例)
– 2024年:J2平均約6,000人台
– 2025年:J2平均約7,200人台(J2としてクラブ史上最多)
こうして見ると、
・J3→J2昇格初年度の伸びは「+40〜80%」、条件がそろうと「+200%」もあり得る
・昇格して終わりではなく、その後もスタジアム体験やイベントを積み重ねて伸ばしているクラブが多い
・昇格がなくても、施策次第で2割くらい増やしているクラブもある
ことが分かります。
カターレ富山のここ数年は、
・2022年(J3):約2,800人台
・2023年(J3):約3,400人台
・2024年(J3):約4,000人台
・2025年(J2):約5,600人
と、4年でほぼ2倍になっており、昇格クラブとしては“標準〜やや控えめ”くらいの増え方です。
まだ「伸び切っていない=これから伸ばせる余地がある」と言えます。
■ 6.平均1万人という目標値の現実感
ここで、カターレ富山の現状(約5,600人)から「平均1万人」を狙う話に戻します。
・必要な倍率:10,000 ÷ 5,600 ≒ 1.77倍(+約77%)
他クラブの例では、
・藤枝:2年で約1.5倍
・秋田:昇格初年度で約3倍、その後も伸長
・長崎:1年で+6,000人超の伸び
など、「1.5〜2倍」くらい動員を伸ばしているクラブは普通に存在します。
県総の収容人数は約18,500人なので、物理的にも平均1万人は十分に入るキャパです。
J2全体の平均が歴代最多を更新し続けていることを考えると、
・J2定着+中位〜上位争い(成績)
・県民1万人あたり動員を「54人 → 80〜100人」に引き上げる(浸透度)
・スタグル・アクセス・イベントを含めた「来場したくなる理由づくり」
この3本柱を、3〜5年スパンで積み上げられれば、
「平均1万人」は決して非現実的な数字ではない、というのが結論です。
■ 7.スタグル40店舗から見える市場規模と“%アップ”の感覚
県総のスタグルは約40店舗。
市場全体を“指数100”としてイメージすると、観客数のシナリオ別にこうなります。
・現状(平均5,600人):売上指数100
・中位ゾーン定着(平均7,500〜8,000人):来場者約1.4倍 → 売上指数140前後
・県民0.8%来場(平均8,300人):約1.5倍 → 売上指数150前後
・県民1.0%来場(平均10,300人):約1.8倍 → 売上指数180前後
「1試合いくら売るか」だけでなく、
・平均動員が伸びたとき、自店は“全体何%アップ”を狙いにいくのか
・在庫と提供スピードをどこまで増やせるか(ピーク時の売り逃しをどれだけ減らせるか)
という考え方に切り替えた方が、スタグル全体としても、店単位でも戦略を立てやすくなります。
■ 8.来年以降、数字で追いかけたいポイント
最後に、来季以降も継続して検証したいポイントをメモしておきます。
・平均観客数と順位の推移
– J2平均とのギャップが縮まっているか
– 富山県民の来場率(0.54% → 何%)がどう動いていくか
・スタグル全体の売上規模(推定)
– 「1試合あたり総売上 × 19試合」で市場規模をざっくり把握
– 今年を100としたとき、来季はいくつになったか
・ピーク時の“売り逃し”の量
– 在庫切れ、行列離脱、タイミング合わずでどれくらい機会損失が出ているか
– キャッシュレス・オペレーション改善・モバイルオーダーでどこまで減らせるか
・他の昇格クラブとの比較
– いわきFC、藤枝MYFC、ブラウブリッツ秋田、徳島ヴォルティスなどと、
「県人口あたり動員」「順位」「スタグル環境」を毎年比べていく
カターレ富山、県総、スタグル約40店舗。
この三つの関係を数字で見ていくことで、
「カターレ富山のJ2での戦いが、富山の週末と食文化をどれだけ豊かにしていくのか」
を、感覚ではなくデータで語れるようにしていきたいと思います。
J2復帰元年の2025シーズンは、そのための「1年目のログ」として残しておきます。


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