飲食店のためのアレルギー完全ガイド― なぜ加熱しても安全とは言えないのか ―
- BOQUERIA

- 11 分前
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0. この記事の前提と目的
本記事は 医療判断を行うものではありません。飲食店における 料理案内・リスク説明・判断基準の共有 を目的としています。
結論から言えば、「安全だと言うための記事」ではなく「安全だと言わないための記事」 です。
1. アレルギーは「体の勘違い」
人の体には、菌やウイルスから守る 免疫 があります。
この免疫が、本来は無害なものを敵と勘違いする ことがあります。
その結果、
かゆみ
腫れ
嘔吐
呼吸困難
など、体が 過剰に反応 します。これが アレルギー です。
重要なのは、原因は食材ではなく、体の反応 だという点です。
2. 体が反応しているのは「食材の一部」
卵やエビ「そのもの」に反応しているわけではありません。
体が見ているのは、食材に含まれるごく一部の成分(たんぱく質) です。
この体がピンポイントで覚えてしまった形や構造これを エピトープ と呼びます。
アレルギーとは、「この形は危険だ」と体が記憶してしまった状態 です。
3. なぜ加工しても安全にならないのか
エピトープには、性質の違い があります。
3-1. 形が崩れると反応が弱まることがあるタイプ
果物の一部
生野菜の一部
卵・乳の一部
これらは、立体構造が崩れると反応が弱まる場合 があります。
ただし、弱まる可能性がある=安全、ではありません。
3-2. 形が変わっても残るタイプ
甲殻類
魚
ナッツ
小麦
アニサキス
これらは、
加熱
乾燥
冷凍
をしても 成分として残りやすい 特徴があります。
さらに、
粉砕
乾燥
油脂との組み合わせ
によって、反応が強く出ることもあります。
4. 店舗の前提は「弱まる可能性に賭けない」
学術的には「加工で弱まる可能性」が語られることがあります。
しかし 店舗判断では使いません。
基本ルール
加工で安全になると考えない
弱まる可能性は説明しない
強くなる可能性は説明する
「たぶん大丈夫」は、店舗にとって最も危険な判断 です。
5. 組み合わせで強くなることがある
次の条件が重なると、反応が強く出やすい ことがあります。
ナッツ × 油脂
甲殻類 × 乾燥・粉末
複数スパイスの同時使用
出汁・エキスの重なり
理由は、
成分が濃縮される
吸収されやすくなる
ためです。
一方で、組み合わせで安全になる と考えてよいケースはほぼありません。
6. アニサキスは別枠で考える
6-1. 寄生虫としてのアニサキス
冷凍
加熱
で 死にます。
6-2. アレルギーとしてのアニサキス
一度、強い症状が出ると、体が 成分を記憶 することがあります。
この場合、
冷凍しても
加熱しても
反応が出る可能性があります。
つまり、調理で解決しないケースがあるという前提が必要です。
7. 料理案内で大切な姿勢
言ってはいけない言葉があります。
「大丈夫です」
「問題ありません」
代わりに伝えるのは、事実だけ です。
伝える内容
何が入っているか
どんな加工をしているか
反応する人がいる可能性
最後に、
「これまでに反応が出たことはありますか」
と確認し、判断はお客さまに返します。
8. 食材群 × エピトープ性質 × 加工影響


9. まとめ(店舗方針を含めた最終整理)
ここまでの内容を踏まえ、当店ではアレルギー対応を次の考え方で運用しています。
9-1. 原因は食材ではなく、体の反応
アレルギーの原因は、特定の食材そのものではありません。
体が食材に含まれる一部の成分(エピトープ)を敵と誤認することこれがすべての出発点です。
9-2. 加工で安全になるとは考えない
当店では、
加熱
乾燥
発酵
熟成
によって安全になると判断することはありません。
学術的に「弱まる可能性」が語られるケースがあっても、店舗判断では採用しません。
9-3. 弱まる可能性は案内しない
「火を通しているから大丈夫」
「生ではないから問題ない」
こうした表現は 使用しません。
弱まる可能性がある、という説明は誤解を生みやすく、判断材料として不十分 だからです。
9-4. 強くなる条件は必ず説明する
一方で、以下の点は 必ず説明します。
乾燥・粉末化されていること
油脂と組み合わさっていること
出汁・エキスとして重なっていること
これらは、反応が強く出る方向に働くことがある ためです。
9-5. アニサキスは完全に別枠で扱う
アニサキスについては、
冷凍・加熱で寄生虫としては死滅する
しかし、アレルギー反応は別問題
という前提で扱います。
一度強い症状が出た場合、調理で解決しないケースがある ことを必ず伝えます。
9-6. 「入っていない保証」はしない
当店では、
出汁
エキス
調味料
製造・調理過程
について、完全に含まれていないと断定する案内は行いません。
伝えるのは 事実のみ です。
9-7. 判断は必ずお客様に委ねる
スタッフが「大丈夫です」「問題ありません」と判断することはありません。
必ず、
「これまでに、どのような反応が出たことがありますか」
と確認し、最終判断はお客様ご自身に委ねます。
9-8. 提供をお断りする判断も含めて安全配慮
説明しても判断が難しい場合、またはリスクが高いと考えられる場合は、
提供をお断りする判断を優先します。
これはサービス低下ではなく、安全を最優先した店舗判断 です。
9-9. 当店のアレルギー対応の結論
原因は食材ではなく体の反応
加工で安全になると考えない
弱まる可能性には賭けない
強くなる条件は必ず説明する
アニサキスは別枠
保証しない・判断を委ねる・無理に出さない
これが、当店がアレルギー対応で最も重視している姿勢 です。

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