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飲食店のためのアレルギー完全ガイド― なぜ加熱しても安全とは言えないのか ―


0. この記事の前提と目的

本記事は 医療判断を行うものではありません。飲食店における 料理案内・リスク説明・判断基準の共有 を目的としています。

結論から言えば、「安全だと言うための記事」ではなく「安全だと言わないための記事」 です。




1. アレルギーは「体の勘違い」

人の体には、菌やウイルスから守る 免疫 があります。

この免疫が、本来は無害なものを敵と勘違いする ことがあります。

その結果、

  • かゆみ

  • 腫れ

  • 嘔吐

  • 呼吸困難

など、体が 過剰に反応 します。これが アレルギー です。

重要なのは、原因は食材ではなく、体の反応 だという点です。

2. 体が反応しているのは「食材の一部」

卵やエビ「そのもの」に反応しているわけではありません。

体が見ているのは、食材に含まれるごく一部の成分(たんぱく質) です。

この体がピンポイントで覚えてしまった形や構造これを エピトープ と呼びます。

アレルギーとは、「この形は危険だ」と体が記憶してしまった状態 です。

3. なぜ加工しても安全にならないのか

エピトープには、性質の違い があります。

3-1. 形が崩れると反応が弱まることがあるタイプ

  • 果物の一部

  • 生野菜の一部

  • 卵・乳の一部

これらは、立体構造が崩れると反応が弱まる場合 があります。

ただし、弱まる可能性がある=安全、ではありません。


3-2. 形が変わっても残るタイプ

  • 甲殻類

  • ナッツ

  • 小麦

  • アニサキス

これらは、

  • 加熱

  • 乾燥

  • 冷凍

をしても 成分として残りやすい 特徴があります。

さらに、

  • 粉砕

  • 乾燥

  • 油脂との組み合わせ

によって、反応が強く出ることもあります。

4. 店舗の前提は「弱まる可能性に賭けない」

学術的には「加工で弱まる可能性」が語られることがあります。

しかし 店舗判断では使いません。

基本ルール

  • 加工で安全になると考えない

  • 弱まる可能性は説明しない

  • 強くなる可能性は説明する

「たぶん大丈夫」は、店舗にとって最も危険な判断 です。

5. 組み合わせで強くなることがある

次の条件が重なると、反応が強く出やすい ことがあります。

  • ナッツ × 油脂

  • 甲殻類 × 乾燥・粉末

  • 複数スパイスの同時使用

  • 出汁・エキスの重なり

理由は、

  • 成分が濃縮される

  • 吸収されやすくなる

ためです。

一方で、組み合わせで安全になる と考えてよいケースはほぼありません。

6. アニサキスは別枠で考える

6-1. 寄生虫としてのアニサキス

  • 冷凍

  • 加熱

死にます。


6-2. アレルギーとしてのアニサキス

一度、強い症状が出ると、体が 成分を記憶 することがあります。

この場合、

  • 冷凍しても

  • 加熱しても

反応が出る可能性があります。

つまり、調理で解決しないケースがあるという前提が必要です。

7. 料理案内で大切な姿勢

言ってはいけない言葉があります。

  • 「大丈夫です」

  • 「問題ありません」

代わりに伝えるのは、事実だけ です。

伝える内容

  • 何が入っているか

  • どんな加工をしているか

  • 反応する人がいる可能性

最後に、

「これまでに反応が出たことはありますか」

と確認し、判断はお客さまに返します。


8. 食材群 × エピトープ性質 × 加工影響


9. まとめ(店舗方針を含めた最終整理)

ここまでの内容を踏まえ、当店ではアレルギー対応を次の考え方で運用しています。





9-1. 原因は食材ではなく、体の反応

アレルギーの原因は、特定の食材そのものではありません。

体が食材に含まれる一部の成分(エピトープ)を敵と誤認することこれがすべての出発点です。


9-2. 加工で安全になるとは考えない

当店では、

  • 加熱

  • 乾燥

  • 発酵

  • 熟成

によって安全になると判断することはありません。

学術的に「弱まる可能性」が語られるケースがあっても、店舗判断では採用しません。


9-3. 弱まる可能性は案内しない

  • 「火を通しているから大丈夫」

  • 「生ではないから問題ない」

こうした表現は 使用しません。

弱まる可能性がある、という説明は誤解を生みやすく、判断材料として不十分 だからです。


9-4. 強くなる条件は必ず説明する

一方で、以下の点は 必ず説明します。

  • 乾燥・粉末化されていること

  • 油脂と組み合わさっていること

  • 出汁・エキスとして重なっていること

これらは、反応が強く出る方向に働くことがある ためです。


9-5. アニサキスは完全に別枠で扱う

アニサキスについては、

  • 冷凍・加熱で寄生虫としては死滅する

  • しかし、アレルギー反応は別問題

という前提で扱います。

一度強い症状が出た場合、調理で解決しないケースがある ことを必ず伝えます。


9-6. 「入っていない保証」はしない

当店では、

  • 出汁

  • エキス

  • 調味料

  • 製造・調理過程

について、完全に含まれていないと断定する案内は行いません。

伝えるのは 事実のみ です。


9-7. 判断は必ずお客様に委ねる

スタッフが「大丈夫です」「問題ありません」と判断することはありません。

必ず、

「これまでに、どのような反応が出たことがありますか」

と確認し、最終判断はお客様ご自身に委ねます。


9-8. 提供をお断りする判断も含めて安全配慮

説明しても判断が難しい場合、またはリスクが高いと考えられる場合は、

提供をお断りする判断を優先します。

これはサービス低下ではなく、安全を最優先した店舗判断 です。


9-9. 当店のアレルギー対応の結論

  • 原因は食材ではなく体の反応

  • 加工で安全になると考えない

  • 弱まる可能性には賭けない

  • 強くなる条件は必ず説明する

  • アニサキスは別枠

  • 保証しない・判断を委ねる・無理に出さない

これが、当店がアレルギー対応で最も重視している姿勢 です。

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