究極ふっくらライ麦とキビ糖のフォカッチャレシピへの道
- BOQUERIA
- 6月6日
- 読了時間: 4分
ライ麦とキビ糖のフォカッチャ レシピ

変遷の記録
当初は「なんとなく」自己流でフォカッチャを作成。味は良かったものの、もっとふんわりを目指すべく検証を開始。
ウィンドウペーンや生地温度測定を導入してグルテン発達を確認し、ミキシング条件を調整。
低温発酵、ベンチタイム、成形後Proof(ショックProof含む)、焼成など各工程でさまざまなアイデアを試す。
結果として、細かな数値や手順を変えても最終的には「現行レシピと大きな違いはない」という結論に至った。
そのうえで、氷ミキシングや中心温度のズレ補正など、今後の改善課題が明確化した。
1. 使用機材
パンこねき: 日本ニーダー PK2025plus
業務用ニーダーの能力を余すところなく活かすため、氷投入による温度抑制が有効かも。
スチームコンビオーブン: HOSHIZAKI MIC-6HSC-G-L
Proof&焼成時のスチーム・ホットエアーの切り替え精度が仕上がりを大きく左右する。


2. 材料(1.8 kgバッチ)
材料 | 分量 | 所感/思ったこと |
強力粉 | 1,400 g | |
ライ麦粉 | 400 g | ライ麦の比率を高めたことで味に陰影が出る。ただし多すぎると重くなるのでバランス重要。 |
キビ砂糖 | 200 g(+モルトシロップ9–18 g) | 次回モルトを使った時の発酵促進効果を定量評価したい。 |
塩 | 20 g | |
ピュアオリーブオイル | 220 g | 焼成後に提供と別に添えるEXVオイルの香りを活かしたいので、生地にはピュアでOKと判断。 |
水 | 1,000 g → 次回氷のみで検証 | 氷投入で氷→水の溶解に伴う吸熱を利用し、捏ね中の温度コントロール強化を試みる。 |
ドライイースト | 20 g(+バイタルグルテン18 g) | バイタルグルテン1%追加でグルテン網を補強、大きな気泡を安定させる効果を確認済み。 |
3. ミキシング条件
粉温: −40 °C
粉を極端に冷やすことで、氷を投入したときの温度抑制効果がより大きくなる。
水温: 0–4 °C
氷にすることで、捏ね中の溶解過程を利用した“ライトオートリーズ”効果を期待している。
速度: 5
高粘度生地では低速でも摩擦熱が出るため、速度よりエネルギー投入量が大事。
捏ね時間: 30 分
表示温度との差を考慮し、実測で24–26 °Cに達するまで必要なら+3–5 分の延長が必要。
注意: 表示温度と生地温度は異なる可能性が高い。プローブで実測し、本当に温度が出ているか確認しよう。
4. 1次発酵(冷蔵低温発酵)
条件: ポリ袋に入れ、冷蔵庫(1 °C)で24時間
酵母と酵素の動きが緩やかになることで、アルコール&酸味のバランスが整い、深い風味が生まれる。
5. ベンチタイム

工程 | モード | 温度 | 湿度/蒸気 | ファン速度 | 時間 | 思ったこと |
ベンチSTEP1 | Steam | 40 °C | 100 % | OFF (0 %) | 2 分 | 冷蔵庫から出した生地をムラなく温める。扱いやすさが向上。 |
ベンチSTEP2 | Hot Air | 40 °C | 0 % | 30 % (弱) | 18 分 | 生地表面の乾燥を抑えつつ扱いやすい温度帯を維持。 |
6. 成形
手順: ホテルパン(高さ100 mm)に生地をのばし、指でくぼみを均等に作り、オリーブオイルを塗布
7. 成形後Proof(二次発酵)

フェーズ | モード | 温度 | 湿度/蒸気 | ファン速度 | 時間 | 思ったこと |
ショックProof | Steam(Shock) | 30 °C | 100 % | OFF (0 %) | 5 分 | 短時間高湿で生地表面を一気に柔らかくし、大気泡を形成しやすくする。 |
メインProof (蒸気) | Steam | 40 °C | 100 % | 50 % (中) | 15 分 | 酵母のガス発生ピークを活用し、膨張を最大化。 |
メインProof (乾燥) | Hot Air | 40 °C | 0 % | 100 % (強) | 50 分 | クラム内部を定着させ、均一な気泡構造を作り上げる。 |
Proof前確認: 生地中心温度を43–45 °Cに上げることで、焼成中の芯温到達が速くなる。

8. 焼成(現行プロトコル)
Step | モード | 温度 | 蒸気 | ファン速度 | 時間 | 目標中心温度 | 思ったこと |
1 | Combi | 130 °C | 100 % | 標準 (100%) | 35 分 | 約 85 °C | 内部をじっくり加熱し、クラムをしっかり温める。 |
2 | Combi | 140 °C | 100 % | 標準 (100%) | 5 分 | 約 93–95 °C | 短時間で中心温度を93–95 °Cに到達させ、しっとり感をキープ。 |
お通しでの提供と〆のひとこと
BOQUERIAでは、このフォカッチャをお通しとしてお出ししています。ライ麦とキビ糖のほのかな甘みと香ばしさが口の中に広がり、心地よい酸味があとから追いかけてきます。表面は程よくしっとり、クラムはふっくらもっちり。ぜひお食事の前にひと口、その味わいと軽やかな食感をお楽しみください。
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